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Magic Mover for Notes And Attachments to Lightning Experience使用方法(前編:準備編)

はじめまして、ロジカル・アーツの石山と申します。
今まで記事レビューなどでブログに関わったことはありましたが、実際に記事を書くのはこれが初めてになります。
社内ではSalesforceチームに所属し、Apexコードでの開発を主に行っています。
どうぞよろしくお願いいたします。

さて、先日このような案件がありました。
既存のClassicのSalesforce環境をLightning Experience(LEX)に移行したい」。
Lightningページの作成やJavascriptボタンの置き換えなど、やることは色々とあったのですが、今回取り上げたいのは「メモ&添付ファイル」から「メモ」「ファイル(Salesforce Files)」への移行作業です。

移行にあたり、今回は「Magic Mover for Notes And Attachments to Lightning Experience」というアプリを使用しました。
今回の記事ではこのアプリが実際に動作する様子を見ながら、使用方法をお伝えできればと思います。

なお、元々この記事はMarkdown形式で18819文字もあったので、記事を3分割しております。

前編:準備編(本記事) blog.logical.co.jp
中編:関連リスト追加編 blog.logical.co.jp
後編:メモ&添付ファイル移行編 blog.logical.co.jp

本題に入る前に

本題に入る前に、いくつかの単語について軽く説明をしておきたいと思います。
必要ないという方は飛ばしていただいても構いません。

  • Salesforce Classic

    f:id:logicalarts:20200406163854p:plain
    Salesforce Classic

    以前から存在するSalesforceのUI(ユーザインターフェース)です。
    2015年夏頃までにSalesforceを導入した企業の方であれば、こちらの画面の方が馴染み深いかもしれません。
    多くの機能が利用できますが、近年の新しい機能は利用できません。
    このUIのことをこれ以降は「Classic」と表記します。

  • Lightning Experience

    f:id:logicalarts:20200406163910p:plain
    Lightning Experience

    2015年冬にリリースされた、新しいSalesfrceのUIです。
    Classicと比べると、うまく説明できませんが「イマドキ」な印象を受けるUIです。
    近年の新機能はこちらを対象に追加されています。
    このUIのことをこれ以降は「LEX」と表記します。

    なお、下のリンク・ボタンがある場合、ClassicとLEXを切り替えることが可能です。
    f:id:logicalarts:20200406164326p:plainf:id:logicalarts:20200406164341p:plain
    ClassicとLEXの切り替え

  • メモ&添付ファイル

    f:id:logicalarts:20200406164452p:plain
    メモ&添付ファイル

    Classic向けの機能で、メモと添付ファイルが一つの関連リストで表示されます。
    レコードに対して簡単なメモ書きを残すことができるメモと、同様にレコードに対して添付される添付ファイルの2つから構成されます。
    f:id:logicalarts:20200406164525p:plainf:id:logicalarts:20200406164514p:plain
    ←メモ 添付ファイル→

  • メモ

    f:id:logicalarts:20200406164659p:plain
    LEXメモ
    LEX向けの機能で、Classicのメモと異なりテキストを多少デコレーションすることができます。
    また、Classicのメモにない特徴として、ほかのユーザにメモを共有することができるほか、フォローすることで内容の変更をChatter上で追跡することができます。
    後で説明しますが、標準では無効になっています
    このメモをこれ以降は「LEXメモ」と表記します。

  • ファイル

    f:id:logicalarts:20200406164624p:plain
    LEXファイル

    LEX向けの機能で、関連リスト上では「ファイル」という名前で表示されますが、機能としては「Salesforce Files」になります。
    こちらもメモ同様に共有機能と追跡機能を備えています。
    このファイルをこれ以降は「LEXファイル」と表記します。

  • 関連リスト

    f:id:logicalarts:20200406164751p:plainf:id:logicalarts:20200406164800p:plain
    ←Classic LEX→
    各レコードに紐づく子レコードの一覧です。
    例えば上記の場合、取引先レコードに対して紐づく取引先責任者レコードの一覧を表示しています。
    ClassicとLEXとでデザインは異なりますが、同じ役割を備えています。

Magic Mover for Notes And Attachments to Lightning Experienceの使用方法

ここからこのアプリについて触れることになりますが、名前が凄く長いので、これ以降は「Magic Mover」と表記します。

Salesforceの環境を用意する

Magic Moverをインストールするために、まずはインストールする環境を用意しましょう。
今回は、開発用に無料で利用できる「Developer Edition」を使用します。
Salesforce Developers Japan Blogの記事が詳しいので、そちらに従って環境を用意してください。
developer.salesforce.com

インストールする環境の準備

早速インストールと行きたいところですが、このままではインストールすることができません
環境の設定を一部変更する必要があります。
また、デフォルトではLEXメモが有効化されていないので、こちらの有効化もやっておきましょう。*1

Classicの場合

右上の設定をクリックします。

f:id:logicalarts:20200406164854p:plain

左側のメニューから、ビルド→カスタマイズ→ユーザインターフェース と辿ります。

f:id:logicalarts:20200406171301p:plain

たくさんチェックボックスがありますが、下の方に「「レコードの作成時に監査項目を設定」および「無効な所有者のレコードを更新」ユーザ権限を有効化」というチェックボックスがあるので、チェックを入れて保存します。

f:id:logicalarts:20200406171621p:plain

次はLEXメモの有効化です。
左側のメニューから、ビルド→カスタマイズ→メモ→メモの設定 と辿ります。

f:id:logicalarts:20200406172045p:plain

メモを有効化」にチェックを入れて保存します。
これでLEXメモが有効化され、LEXメモの関連リストを表示させることができるようになります。

f:id:logicalarts:20200406165038p:plain

LEXの場合

右上の歯車のマークから「設定」をクリックします。

f:id:logicalarts:20200407103649p:plain

左側のメニューから、管理→プラットフォームツール→ユーザインターフェース→ユーザインターフェース と辿ります。

f:id:logicalarts:20200407104037p:plain

たくさんチェックボックスがありますが、下の方に「「レコードの作成時に監査項目を設定」および「無効な所有者のレコードを更新」ユーザ権限を有効化」というチェックボックスがあるので、チェックを入れて保存します。

f:id:logicalarts:20200406171621p:plain

次はLEXメモの有効化です。
左側のメニューから、管理→プラットフォームツール→機能設定→セールス→メモの設定 と辿ります。

f:id:logicalarts:20200407104543p:plain

メモを有効化」にチェックを入れて保存します。
これでLEXメモが有効化され、LEXメモの関連リストを表示させることができるようになります。

f:id:logicalarts:20200406165038p:plain

Magic Moverを環境にインストールする

Magic Moverは、「App Exchange」というSalesforceのアプリのマーケットサイトで公開されています。
以下のURLよりインストールすることができます。
appexchange.salesforce.com

URLにアクセスすると下のような画面が表示されますので、右上の「Get It Now」をクリックしましょう。

f:id:logicalarts:20200407104829p:plain

「Log In to AppExchange」という画面が表示された場合は、上の「Log In」をクリックして先に進みましょう。
既にログインした状態で「Get It Now」をクリックした場合は、この画面は出ないと思います。

f:id:logicalarts:20200407104844p:plain

事前にAppExchangeにログインしていた場合、また上の「Log In to AppExchange」からログインした場合、この画面が表示されます。
今回はDeveloper Editionにインストールするので、「Install in Production」をクリックします。

f:id:logicalarts:20200407104906p:plain

インストール前の確認画面が表示されます。
Package、Username、Organizationなどを確認し、問題なければ「I have read and agree to the terms and conditions.」にチェックを入れ、「Confirm and Install」をクリックします。

f:id:logicalarts:20200407104919p:plain

ここで、Salesforce環境へのログインを求められるので、ログインを行います。
ログインすると、インストールする対象を選ぶ画面が表示されます。
デフォルトで「管理者のみインストール」がチェックされていますが、今回は管理者だけがこのアプリを使用できれば良いので、そのまま「インストール」をクリックします。

f:id:logicalarts:20200407104937p:plain

インストールが始まります。

f:id:logicalarts:20200407104953p:plain

インストールが完了しました。
これでMagic Moverが環境にインストールされました。

f:id:logicalarts:20200407105004p:plain

「インストールする環境の準備」で設定を変更していない場合、以下のエラーが発生してインストールできません。
この画面が表示された場合は、「インストールする環境の準備」の手順に従って設定を変更してから再度インストールを試みてください。

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前編はここまでになります。
次の中編では、LEXメモとLEXファイルの関連リストをページレイアウトにまとめて追加する方法をご紹介します。
blog.logical.co.jp

*1:この手順は、ClassicとLEXとで異なる操作と共通の操作が混ざっているため、終始ClassicとLEXとで分けて手順を説明しております。