こんにちは、ロジカル・アーツの福島です。
9月8,9日に開催された、AWS Online Summit に参加しました。AWSについて学習を始めたばかりの私にとって、初めてとなるAWSのイベントでです!
概要だけ知っていたサービスをさらに深く掘り下げた内容のセッションや、具体的なAWSの導入事例など、様々な学びに触れられてとても有意義な2日間でした。
中でも興味を持ったのがこちらの二つのセッションです。
「AWS-10:事例に学ぶクラウド移行のコスト評価と移行後のコスト最適化」
スピーカー:アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 事業開発本部 事業開発マネージャー 小野 俊樹氏
概要:クラウドへの以降検討段階における顧客のTCOと移行後の効果を定量比較によりスムーズな意思決定を支援するプログラムであるCloud Economicsについての紹介。
「AWS-16:いまから2020年度内に社内システムのクラウド移行を実現する方法」
スピーカー:アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 エンタープライズ事業本部 エンタープライズプラットフォームスペシャリスト 高山 博史氏
概要:「2025年の崖」に向けてのデジタルトランスフォーメーションへの備えや、ビジネス競争やコスト削減の取り組みとしてクラウド移行の必要性が高まっているなか、「最速で既存データセンタの仮想化環境からのクラウド移行」を実現する” VMware Cloud on AWS”についての紹介。
こちらで紹介されていた「2025年の崖」問題と、その解決を後押しするAWSのサービス「Cloud Economics」について紹介したい思います。
- 「AWS-10:事例に学ぶクラウド移行のコスト評価と移行後のコスト最適化」
- 「AWS-16:いまから2020年度内に社内システムのクラウド移行を実現する方法」
- 「2025年の崖」とは
- 必要とされるデジタルトランスフォーメーション
- AWSのコスト評価がクラウド導入のハードルを下げる
- まとめ
- 参考
「2025年の崖」とは
経済産業省は2018年の「デジタルトランスフォーメーション(既存システムの刷新や、新たなデジタル技術を活用すること)」を促すレポート(*以下DXレポート)で、多くの企業の既存システムがブラックボックス状態にあり、データ活用ができていないということを指摘しています。 2025年の崖とはこのレポートで示された、これからの日本企業・日本経済に立ちはだかる大きな課題のことです。
DXレポートによると、もしこの状態が解決できないと……
- 市場の変化に対応できず、ビジネスモデルを柔軟・迅速に変更することができずデジタル競争の敗者に!
- システムの維持管理費が高額化し、IT予算の9割以上に増大。技術的負債を抱えることに……
- 保守運用の担い手不在で、サイバーセキュリティやシステムトラブルのリスクが高まる……!
などの問題により、2025年以降には年間12兆円もの経済損失が出ると予測されています。これらの問題を解決するために「デジタルトランスフォーメーション」に積極的に取り組むべきであるとDXレポートは述べています。
必要とされるデジタルトランスフォーメーション
経済産業省の提言するデジタルトランスフォーメーションのシナリオは以下の通りです。
- 技術的負債を解消し、人材・資金を維持・保守業務から新たなデジタル技術の活用にシフト
- データ活用等を通じて、顧客、市場の変化に迅速・柔軟に対応しつつ、クラウド・モバイル・AI等のデジタル技術を取り入れ、素早く新たな製品・サービス・ビジネスモデルを国際市場に展開
- デジタルネイティブ世代の人材を中心とした新ビジネス創出
AWSのサービスを利用すると、オンプレミス環境におけるインフラコストを削減するだけでなく、企業はハードウェアの保守や運用から解放されます。 オンプレミス環境からクラウドに移行することで削減できるインフラコストと人的コストはとても莫大です。
「俊敏性とセキュリティ」「コスト削減」「弾力性」「迅速なイノベーション」「素早いグローバル展開」を可能にするAWSのクラウドサービスを利用することが、デジタルトランスフォーメーションの対応の第一歩になり得ます。
AWSのコスト評価がクラウド導入のハードルを下げる
クラウド移行でデジタルトランスフォーメーションをしよう!
2020年現在まで古いシステムに依存してきた企業が、システムのクラウド移行に踏み切るのはとても大変なことです。
AWSはオンプレミス環境からクラウドへのシステム移行を容易にする数多くのサービスを備えていますが、なんと導入以前のサポートも行っているのです。
Cloud Economics:Business Value Engagement
Business Value Engagementとは、オンプレミス環境からクラウドへの移行で得られる経済的メリットの定量化を可能にするプログラムです。現在の顧客の運用環境と、クラウド移行後の状態との差異を分かりやすく可視化し、クラウド移行の方向性を議論するための材料を提供します。 そしてこのBusiness Value Engagementは単なるインフラコストの比較だけではなく、ビジネス全体を見通す広い視点からクラウド移行を検討することができるのです。
クラウド移行における4つの経済価値
AWSはクラウド移行における経済価値をこのように提示しています。
- インフラコストの削減
……総所有コストの観点でのITインフラコスト削減 - スタッフ生産性の向上
……タスクごとの効率改善 - 頑強なオペレーション
……予期せぬダウンタイムの削減 - 俊敏なビジネス
……新たな機能・アプリケーションをより早く少ないエラーで投入する
従来、IT予算の削減というと「インフラコストの削減」ばかり注目されてきましたが、AWSは「IT資産」を考える上でインフラコスト(1)だけでなく、バリュードライバー(2~4)も重視すべきであると考えています。
このように、クラウド移行によって得られたビジネス効果のうち、バリュードライバーでのコスト削減効果が全体の97%もの割合を占めることもあります。 クラウド移行に際してインフラコストの削減だけを考慮していては、正確な検討をすることはできません。
Business Value Engagement はスタッフ生産性の向上から生まれる利益額、システムのダウンタイムをなくすことで生まれる利益額、俊敏にビジネスを行うことで生まれる利益などについて定量的に、かつ詳細に計算できるモデルを持っています。
単なる物理的なシステム維持費用の削減だけではなく、バリュードライバーにおける詳細なコスト計算も併せて、クラウド移行の経済的効果の全体像を把握した上で検討を進めていくことができるんですね。
まとめ
AWSがスムーズなクラウド移行を支援するさまざまなサービスを備えていることや、インフラコストのみのコスト計算ツール(TCO計算ツールなど)があることは知っていましたが、Business Value Engagementのように広い視点からビジネスを捉えるサポートサービスがあることを知りませんでした。
「2025年の崖」を目前に控え、急いで対策に取り組まなくてはいけない企業のデジタルトランスフォーメーションを後押しするサービスのひとつになると思います。
参考
DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~
(https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_01.pdf)
AWS-10:事例に学ぶクラウド移行のコスト評価と移行後のコスト最適化
(https://pages.awscloud.com/rs/112-TZM-766/images/AWS-10_AWS_Summit_Online_2020.pdf)
AWS-16:いまから2020年度内に社内システムのクラウド移行を実現する方法(https://pages.awscloud.com/rs/112-TZM-766/images/AWS-16_AWS_Summit_Online_2020_CMP03.pdf)