日頃よりお世話になっております。 ロジカル・アーツ株式会社のSE 輪島 幸治です。
Winter '22のリリースがありましたので、 先日、バージョンアップした際に確認すべき内容やリリース情報についてまとめさせていただきました。
今回は、リリースノートの実際の機能を確認させて頂きましたので、 私が業務で確認させて頂いたケースとTableau CRM機能について、 最近流行している機械学習に着目してピックアップしてご紹介させて頂きます。
ケース
クローズケースの状況項目を表示するか非表示にするかを選択
Winter '22の更新でService Cloudのサポート設定で状況項目のクローズ状況を非表示とする設定ができるようになりました。 サポート設定のデフォルトが非表示になるようなので、ケースのレイアウトにクローズ状況を表示したい場合は設定変更する必要があります。
設定箇所
サポート設定の概要箇所[クローズケースの状況項目を表示]にチェックを入れる必要がある。
設定値の比較
(1)[クローズケースの状況項目を表示]にチェックを入れた場合
ケースの状況項目がNew
、Working
、Escalated
、Closed
となっており、
クローズ状況の項目であるClosed
が表示されていることが確認できる。
(2)[クローズケースの状況項目を表示]のチェックを外した場合
ケースの状況項目がNew
、Working
、Escalated
となっており、
クローズ状況の項目にあったClosed
が表示されていないことが確認できる。
Tableau CRM
センチメント分析を使用した非構造化データの価値のあるインサイトへの変換 (正式リリース)
パイロット機能でしたが、Tableau CRMを使用してテキストデータから簡単にセンチメント分析が行えるようになりました。
Tableau CRMのEinstein Discoveryでストーリーを作成する際に非構造化データを処理し、センチメントを肯定的、否定的、どちらでもないに分類して分析する機能です。
センチメント分析を使用した非構造化データの価値のあるインサイトへの変換 (正式リリース)
(1)センチメント分析前の分析対象データ
テキスト項目の場合は、設定の[1.変換]からセンチメント分析
が選択できるようになりました。
変換前のテキスト項目値をFALSEとTRUEという値に設定した場合、FALSE、TRUEという値が設定されていることが確認できます。
(2)[1.変換]>[センチメント分析]を行い項目を変換した結果
変換前にFALSEとTRUEという値だったテキスト項目値が変換され、'Neutral'という新しい項目値に変換されていることが確認できます。
(3)変更される項目値と変換の仕組みについて
肯定的、否定的、どちらでもないに分類する機能がTableau CRMにおけるセンチメント分析とされていますが、一般的なセンチメント分析ではトークン化した文書を、辞書に定義済みの単語と一致させて文書のスコアを算出して文書を肯定的、否定的、どちらでもないに分類する仕組みをとっています。
※単純な辞書でなく、単語同士の類似性から評価する場合もあるので、Salesforce側の内部的な動作は異なる場合もあります。
私も自然言語処理の研究ではセンチメント分析をしていましたが、 研究では高村大也氏が作成した単語感情極性対応表や 東北大学の乾研究室が提供している日本語評価極性辞書使っていました。
こうした辞書は評価表現辞書などと呼ばれるのですが、 評価表現辞書の使い方などはサーベイ論文などに載っていますので、良ければ参考にしてみて下さい。
検証セットを使用したモデルパフォーマンスの評価
機械学習モデルを作成する際のモデル学習のための訓練用データと分析を行うテスト用データに分割する際に割合を変更できるようになったという内容です。
機械学習でよく使われるPythonのscikit-learnなどではよく使われています。
具体的にはtrain_test_splitという関数でデータセットを訓練用データとテスト用データに分割して、 分割したデータを適用したい各アルゴリズムに適用して機械学習モデルを作成することが多いです。参考まで。
Salesforce の外部で構築されたモデルの運用化 (正式リリース)
外部の機械学習モデル作成ライブラリで作成したモデルをエクスポートして、 Tableau CRMに読み込んで使用するという内容です。
Salesforce の外部で構築されたモデルの運用化 (正式リリース)
(1)設定メニューは画面左下の[モデルマネージャ]
(2)モデル種別と作成したモデルランタイムを指定してインポートする模様(未検証)
Winter'22のリリースでは、外部で構築されたモデルとしてTensorFlow モデルで作成されたモデルが使用されています。
TensorFlowは、再帰型ニューラルネットワーク(RNN)のような時系列予測が実装できる 機械学習ライブラリのKerasなどで使用されているライブラリで、Google社が開発したライブラリです。 TensorFlow自体は、テンソル分解などが実装できるライブラリとのことです。
今回は、機械学習モデルをインポートする設定メニューは確認しましたが、 Tableau CRMの機能としては未検証なので機械学習モデルがどのような適用結果になるかなどは、改めて評価したいと思います。
AIライブラリも増加してきていますが、Salesforceは年3回バージョンアップされ、最新の技術が常に取り込まれています。 Salesforceのバージョンアップではリリースされる新機能も多いですが、記事がご参考となれば幸いです。
よろしくお願いいたします。
弊社について
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